ソーシャルメディアの影響力だけではなく、生活者の行動変化、データマネジメントのテクノロジー進化により、マーケティング手段が多様化すると同時に、いよいよ統合的にマーケティングをマネジメントすることが求められる時代になっています。
しかしながら、統合マーケティングマネジメントとはいってもどこから手をつければいいのか、悩んでおられる企業が多いことも事実です。時代に対応したマーケティングを実践するためには、多様化するインプットとアウトプットの手段を自社に最適にマネジメントしていく視点が求められます。
また、マーケティングを組織横断で実践して行くための、企業総体としての理解や意識付けも必要です。
いくら顧客データを統合したとしても、コンテンツマーケティングやマイクロターゲティングを推し進めたとしても、各マーケティング手段を全体としてどうマネジメントして行くのか、という大きな戦略がなければ、局所対応型のアクションに終わってしまうでしょう。
これまでの日本企業では、縦割りの組織風土もあり、企業を横断した顧客データの統合的な活用や、マーケティングアクションの統合的なマネジメント機能が不在であったと言えるかもしれません。
一方、グローバル企業を例にとると、CMO先進国である米国および米国に本拠を置くグローバル企業に置いても、マーケティング環境の急速な変化は、組織の形、CMOの役割を大きく変えているようです。
米国にてCMOとマーケティング組織コンサルティング分野で10年以上の経験を持つMarketFrames社のファウンダー/社長 Andrew Tallian氏と、パートナーであるKara Kerker氏、Pierre Schaeffer氏に、同社の設立経緯、および彼らが経験してきたマーケティングマネジメントの変化についてお話を伺いました。

CMO・マーケティング組織専門のコンサルティングファーム設立背景

MarketFrames社が設立されたのは2003年、それまでAndrewとKaraはヒューレット・パッカードでそれぞれCMO、マーケティング責任者をしていました。
「当時は、ヒューレット・パッカードをはじめ、多くの企業に置いてサプライチェーンや製造、ロジスティックスといった企業内バリューチェーンの縦割り構造が取り払われ、一元的にマネジメントするという変化の真っただ中でした。また、企業成長が足踏みする‘踊り場環境’で、マーケティング効果に対するプレッシャーも強まって行きました。そんな中、効果的なマーケティングを実施するためには、もっとバリューチェーンを横断した組織的なアプローチが必要だと考え、MarketFrames社の設立に至りました。」

CCOから真のCMOへ

「10年前は、CMOとは言え、チーフコミュニケーションオフィサーの色合いが濃かったことは事実です。しかし今は、企業内の様々な組織を見わたし、消費者の変化や市場の変化に応じて組織と機能をコーディネートしていくことが求められます。これが、マーケティングをオーケストレイト(編成)するということです。」

ディレクターよりもインフルエンサーの役割、それが今のCMOに求められるもの

「多様化するマーケティング手段に対し、より洗練されたマーケティングマネジメントをするための議論が盛んに行われています。今のCMOが直面している最も重要な課題とは、自身が直接のレポートラインに位置するのではなく、マーケティングマネジメント全体に影響を与えるような存在になれるかどうか、という点です。多様化と変化が激しい環境下で、CMOとCMO配下の自社組織が直接全部のマーケティングアクションに関わっていては、いくら人手があっても足りないでしょう。より効果的に、より洗練されたマーケティングマネジメントを実行するためには、どこまでのリソースを自社で持ち、どこからをアウトソースし、その双方へ直接・間接的にどう関われば良いか、という視点で考えることが重要でしょう。」

デジタル時代のCMOに必要なもの

「アメリカに置いても、デジタルマーケティングの新しいBuzzワード、またツールや手法が紹介されるたびに、キャッチアップしなければと焦る企業やマーケターが多く見られます。データサイエンティストが足りないという声も聞かれます。
しかし、適切な統合マーケティングの概念や戦略が無ければ、デジタルマーケティングのツールや手法を導入したところで事業全体へのインパクトは低レベルにとどまる、つまり‘マーケティングデータの表面をひっかくだけで、中まで到達できない’のです。デジタル時代だからこそ、顧客接点を統合的にマネジメントする戦略が一層重要になってくると思います」

(『Marketing Horizon』(2014 Vol.7) 掲載)

MarketFrames社
USA に本拠地を置く、マーケティング組織、マーケティングオペレーション、マーケティング投資に関するイノベーションを支援する専門コンサルティングファーム。2003年の設立以来、フォーチュン1000に選出されたグローバル企業数百社のマーケティング組織改革、およびCMOのサポートを実施している。