日本企業全体に求められる「マーケティングリテラシーの向上」

人の育成は常に企業の最重要課題の一つだ。その点でマーケティングを強化するために求められる要素は2つある。「マーケティングスキルの向上」と、「マーケティングリテラシーの向上」だ。 「マーケティングスキル」とは、マーケティングの実践に必要となる様々な能力のことを指している。具体的には情報を分析し生活者の将来のニーズを読み取る力と、価値をデザインし戦略を描く力だと思っているが、これはマーケティング関連部門の人間に特に強く求められるものである。 一方「マーケティングリテラシー」とは、「マーケティングの意味とその重要度を理解し、腹落ちしていること」と定義したい。リテラシーとはある物事を理解し、整理し、仕事に役立てていく能力だが、中でも「理解度」が重要だからだ。こちらは、マーケターだけではなく、全社員に求められるものであり、それだけに解決がより難しい問題であるとも言える。

「過去の成功経験」から自由になれるか?

その背景には企業としてのこれまでの成功体験があるからだ。これまでは、「技術力」であり「営業力」、「人間力」で勝ってきたのである。これは個人レベルの成功体験であることを通り越し、日本企業の「勝つための仕組み」に昇華されているし、考え方の相違ではなく思想の違いだ。マーケティングで勝つ、という思想を会社として共有できるかというところにポイントがある。

特効薬はないが・・・

マーケティングリテラシーを劇的に向上させる特効薬はない。トップダウンで強力に推し進めるか、小さくて良いので成功事例を作るか、そうでなければ地道な意識改革と教育を続けていくしかない。 その点で注目したいのが「ビジネスゲーム」というものだ。経営者の立場でボードゲームの様な形で経営をシミュレーションするものが一般的で、MBAなどでも採用されている体験型研修の一つだ。 上述の通り、マーケティングリテラシーが低い原因は、過去の体験から来ている。だとすれば座学の講習などの効果は薄い。特にマーケティング部以外の人達に、「疑似」であっても、マーケティングを強化しなければこの先の成長はないということを体験してもらえれば、意識改革のスピードが上がるのではないか。 そう考えて、我々はマーケティングとブランディングに特化したビジネスゲームを開発した。特効薬ではないし地道だけれど、マーケティングを強化し企業が成長する土台を作るサポートにならないだろうかと考えている。

(博報堂コンサルティングニュースレター 第20号掲載)