働き方改革―
直近のビジネスシーンにおいて、最もホットなワードであるといって過言ではないでしょう。平成28年8月の閣議決定により定められた“一億総活躍社会”という大目標に向け、政策における最大のチャレンジとされたのがこの「働き方改革」です。※1

方針文書内で<多様な働き方を可能とする社会を目指し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現など、労働制度の大胆な改革を進める>と定義されるこのフレーズは世の関心を集め、あらゆるメディアでも頻繁に耳にするようになりました。

この方針が唱えられた背景には我が国が直面する重大な懸念が見えます。
現在の日本は急速な少子高齢化が進行し、生産年齢人口の減少に歯止めがかかりません。“人手不足倒産”という事態が深刻化するなど、状況は危機的なものです。

残念なことに、現在の状況は今後も好転が期待できるものではありません。
出生率を大幅に上げて将来の働き手を増やすことは考え難く、現在労働市場に出ていない高齢層などを働き手としてカウントするにも限度があるでしょう。
よって2030年にかけて生産年齢人口の減少速度は一層加速するものと予測されており、世の企業はこの状況に適応することが求められます。※2

この状況に適応するためには、現存のリソースを有効に活用すること、即ち一人一人の「生産性向上」こそが最も重要であるといえます。
実際に働き方改革に取り組んでいる大多数の企業がその実施目的を「生産性の向上」であると回答しています。

2017年12月に政府が新たな看板政策として掲げた「人づくり革命」も、高い付加価値を生み出す人材を育て、中長期的に経済成長力を底上げとすることを目的としたものです。人材投資を行った企業に対し法人税を減税する制度を設けるなど、企業の生産性向上を税制面から後押しすることにも力を入れています。

しかし、先の働き方改革というフレーズだけが一人歩きした結果、世間での取り組みとしては依然「長時間労働の是正」「業務の見直し」が中心のままのようです。
残業禁止を謳うことで定時以降に社内に残ることを禁止し、長時間労働の予防線を張る企業も散見されました。
当然ながら、在社時間が短くなっても一人当たりの業務量が減る訳でも効率化される訳でもなく、業務を自宅に持ち帰らざるをえない社員も続出。
早く帰れ、でも仕事はしろという無理を強いる「時短ハラスメント=ジタハラ」なる言葉まで生まれました。

表面上の枠組みを変えるだけではなく、もっと組織としてのコアの部分、現状の課題ポイントを詳細に洗い出し、それを解消する取り組みを実施して初めて改革といえるでしょう。

例えば「残業削減」を基点とするのであれば…
生産性を高めるに必要なのは

1. 今までと同じ業務量を、短時間で行えるようになること
2. 同じ時間で「+αの成果」を出せるようになること

ただしこの成果を個々の集中力向上や、自発的な能力研鑽に委ねるというのは現実的ではありません。
結論としては、

1. 今までと同じ業務量を、短時間で行えるようになるためのスキル強化
2. 同じ時間で「+αの成果」を出せるようになるためのスキル強化

上記の2つの切り口に沿って、組織レベル/個人レベルでそれぞれクリティカルな「強化すべきスキル」を導出し、実行することが重要と考えます。
我々が考える、その主なスキルとは以下の5点です。

①プロジェクトの「構造」を組むスキル
②効果的に「情報」を集め、活用するスキル
③様々な「フレームワーク」を活かしきるスキル
④「問い」から知恵を引き出し、纏めるスキル
⑤取組内容を発信し「共感」を得るスキル

テーマによる部分もありますが、これらが欠落すると、業務の生産性が著しく落ちてしまう危険性があります。
これを個人に委ねるのではなく、組織レベルでの取組みに着手し、底上げを図らなければ、いつまで経っても組織としては前進しません。

我々博報堂コンサルティングでは新たな事業領域拡大の一環として今から4年前、2014年にHR領域での取り組みに着手しました。
「働き方改革」という概念の浸透により、人材育成に対する需要は一層高まり、市場は拡大してきています。
この様な世相を踏まえ同分野に舵を切ることとし、この度HRの専門組織【HR Design Lab.】を発足するに至った次第です。

現在は生産性の向上に繋がるクリティカルスキルのご提供を主旋律とし、企業向け研修プログラムとして10種のバリエーションを展開しています。その中には我々がこれまで数多のコンサルティング現場で培ったノウハウを随所に鏤めてあります。プログラム内でご紹介するケースも全て実例に基づいているため、学び取れるエッセンスは実に豊富です。

単なる教科書的なビジネススキル研修の詰め込みでは、日常の業務内での再現性に欠けてしまいます。試行錯誤しながら確立させたスキルを体系的にまとめたプログラムだからこそ、リアリティーを持って伝達できるのです。この「実践知」こそが、他社にはない、我々の最大の独自性であり、強みと言えます。

「生産性向上」というカタチの無い大きな社会テーマに対し、我々のアウトプットを以て組織運営の効率化を促し、その一助となれば光栄です。
※1 参考:平成28年8月3日 基本方針(首相官邸)

https://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2016/0803kihonhousin.html

※2 参考:「生産年齢人口の減少」データ(内閣府)

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0125/shiryo_04-2-3.pdf